「ディーゼルの排気ガス中のSPMが原因」の検証2

なんの検証にもならない実験

 国立環境研究所がアホな実験をしていました。NHKのニュースで取り上げられた実験結果です。2002年ですから10年以上前の実験です。

 

 実験は下記のようになされたようです。

ディーゼルの排気ガスを5週間に渡って吸わせたねずみと5週間綺麗な空気を吸わせたねずみの鼻にアレルギーを引き起こす物質を塗り、20分間で何回くしゃみをするかの実験

 

1 綺麗な空気をすったねずみは1.3回
2 1立法メートルあたり、0.3mgのSPMを含む空気を吸ったねずみ3.7回
3 1立法メートルあたり、1mgのSPMを含む空気をすったねずみ9回

 これをもってして花粉症の原因はディーゼルの排気であるとしています。

 

 この実験結果は、確かにディーゼルの排気ガスが花粉症の原因である可能性を示唆していますが、ディーゼルの排気ガスが花粉症の原因であるとは絶対に言えません。

 

 例えばガソリン車の排気ガスやダイオキシン、それともそんなに身体に悪くなさそうなコショウやそば粉みたいなくしゃみやアレルギーを誘発するような物質を可哀想なねずみに吸わせる空気に含ませて同じ実験をしてみてはどうでしょう。わかりませんが、ガソリン車の排気ガスや胡椒を5週間も嗅がされ続けたらディーゼルの排気ガスじゃなくてもくしゃみの連発だと思うのですが。

 

 もし、この実験方法で絶対確実にディーゼルの排気ガスが原因だと断定するためには、世の中にある全ての物質をねずみに吸わせる空気に含ませ試してみて、ディーゼルの排気ガスだけがくしゃみを誘発するという実験結果を得なければなりません。

 

 要はこの類の実験では、可能性が示唆されるという以外は何も言えないのです。

 

 前のページの実験もそうです。血液にSPMを添加したらアレルギー反応を誘発する物質が生成されたというだけでは、なんの証明にもならないのです。

 

 しかし、なぜこんなにもディーゼルの排気ガスは花粉症の原因であるという説が広まったのでしょうか。その答えは東京都の発表にあるように思われます。

 

 東京都がディーゼル車の排気ガスの規制を始めるために、この研究結果の表現方法を改変というか捻じ曲げて発表したわけです。これが東京都の発表です。

 

 報告書の内容を故意に捻じ曲げてますね。このあたりの経緯は市民のための環境ガイドというサイトで詳しく説明してあるのを見つけました。

 

 ただし、花粉症の原因ではなくてもディーゼルの排気ガスは規制されるべきなので、こんな捻じ曲げも社会のためにはなっていると思うのですが、花粉症の原因を様々な人に誤解させたのは事実です。

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